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「34歳で一念発起しデザイナーになるため留学しました」

By: Aquent

エイクエントは登録者の才能に注目し「タレント」と呼びます。今回は文具メーカーに勤務中のタレントに話をうかがいました。

LAST UPDATED: 2015/10/07

エイクエントは登録者のことを「タレント」と呼びます。それは登録者の「才能」に注目し、才能を最大限活かせるポジションの紹介にこだわっているからです。

今回は、文具メーカーに勤務中のタレント、荒木さんを紹介します。

荒木聡さん
旅行会社で予約手配、ツアー企画、広告宣伝を担当した後、米国、グランデールコミュニティーカレッジに入学。その後、カリフォルニア州大学ロングビーチ校へ進学し、アート学部グラフィックデザイン学科卒業。
2014年から株式会社キョクトウ・アソシエイツ勤務。

聞き手:宮崎洋史。エイクエント マーケティング担当

営業さんから「それじゃ売れません」と言われたことも

Q:どんなお仕事をされているのか教えてください。

キョクトウは学習帳をメインにした文具メーカーでして、私はノート、とくに高校生以上向けのノートのデザインや企画をしています。いま目の前にあるのがその例で、高校生向けのノートです。

もう一つ、紙工作キットのデザインも担当しました。「クルクルくるる お寿司屋さん」といいます。これは6歳以上、ハサミを使い始める年齢より上を対象にしています。「学習」を広い意味で捉え、工作という学習を、手を使って助けてあげるのが狙いです。

araki_works

Q:仕事の流れはどうなっているんですか?自分で企画して自分でデザインするのか、それとも企画は上から降りてくるのか…。

基本的には、私が所属している企画部でトレンドに合わせたものを企画して、各部署からの承認を得て、デザインや生産をします。

Q:へえ、ノートにもトレンドがあるんですね。例えばどんなものですか?

ドット罫線といって、罫線をドット状にするのが、今わりとトレンドになってますね。あとは、軽い紙を使ったノート。そういった感じのノートが市場でよく出てます。 

Q:ノートの中身もデザインされるんですね。制作プロセスに話を戻すと、企画から完成するまでは、どのくらいの時間がかかるものなんですか?

デザイン自体はそんなにかからなかったんですけども、部署内でまず承認がおりるまでに2ヶ月ぐらいかかって、そのあと他部署の会議があって、結局、3~4か月くらいは少なくともかかる感じです。色や、レイアウトを変えたバージョンを3つ4つくらいは作ってますね。

いろんな部署とのやりとりが大変ですけど。たとえば営業さんから「それじゃ売れません」とか言われたり。いろんなバランスがむずかしいです。

Q:営業さんが「売れる」と言うのはどんな商品なんですかね?

いわゆる市場で賑わっているような商品ですね。でもそれだと他社と変わらないので、自分としては少し違うものをって言います。そうすると、今度は調達のほうから、その仕様ではコストが高くなっちゃいますときたり。

Q:仕様というのは、紙質とかそういうことですか?

はい。紙をちょっと厚くしただけで、単価が高くなったりするんです。ただ単にデザインだけじゃなくて、そういう生産性とか売上とか、そういうところもある程度気をつけながら仕事しています。

Q:なるほど、確かにバランスが難しいですね。ところでお寿司キットの方ですけれど、ノートは平面でお寿司キットは立体じゃないですか。デザインするときの頭の使い方が違って大変そうな気がするのですが…

モノをつくることは好きなので、わりと作ることができました。ただ、子供が作れなきゃいけないということなので、そこがちょっと大変でしたね。ある程度つくるネタが決まった段階で、わたしの甥っ子だったり、友だちのお子さんだったりにお願いして作ってみてもらいましたね。 

34歳で一念発起し留学することにしました

Q:話題を変えますが、荒木さんのキャリアについて教えてください。キャリアの出発点はデザイナーではなかったとお聞きしていますが…。

僕はもともと旅行関係の会社で接客、予約受付、企画をしたりしていました。その会社で広告宣伝を担当するようになり、そこでデザイナーとかコピーライターの方とお会いしたのがキャリアチェンジのキッカケです。もともとつくることが好きだったので、こういう仕事は面白いと感じ、一念発起して、留学することにしました。アメリカのコミュニティ・カレッジに入学したんです。

Q:それは何歳のときなんですか?

34歳の時です

Q:うわ、それは一大決心ですね。留学先ではどういう勉強をされたのですか?

普通の一般科目と、それと別に専攻科目があって、デザインの基礎的な色の使い方だったり文字の大きさだったりとか、そういうことを学びます。

IllustratorだとかPhotoshopとかの専門クラスもあれば、デジタルツールをあえて使わないクラスもあります。基礎的なデッサンだったりとか、ペイントだったりとか。

Q:鉛筆を手にしてデッサンとかもしてたんですね。そのカレッジには2年間通ったそうですが、直接大学に入らずにコミュニティ・カレッジというのは一般的な流れなんですか?

いや、コミュニティ・カレッジの方が学費が安いので。2年後に就職できるかもしれないという期待もあってコミュニティ・カレッジに入ったわけです。ただ、コミュニティ・カレッジ終了時には就職先が見つからなくて…

デザイン事務所のクライアントにプレゼンをするクラスもありました

Q:それで大学へ進まれるわけですね。大学ではどんな勉強をされたんですか?

もうちょっと専門的になって、コンセプトワークとか、タイポグラフィとか。あとはデザイン事務所と組んで、プレゼンテーションをするクラスもありました。

Q:デザイン事務所の実際のクライアントに対してプレゼンするんですか?

そうです。年に1、2回ぐらいしか機会はないのですけれども、そういうふうに協賛していただけるところが何社かあって。

Q:学生にプレゼンを任せてくれるということは、学生がヘマをすると、そのデザイン事務所は仕事を失っちゃうかもしれないわけですね。めっちゃ太っ腹ですね、それ。

アメリカのデザイン会社って寛大というか…いい人材を逆に採ることもできるし、発掘することもできるので、ギブ&テイクの面もありますね。

Q:で、荒木さんの時は、お題はなんだったんですか?

ジェイミー・オリヴァーっていうイギリスのシェフがいるんですけども、そのシェフが安い食べものを一般の人に広められるマーケットをつくりたいという課題があったんです。どんな食べものを、どうデザインして、どういうマーケットに向けて出していくかというような課題でしたね。

アメリカって肥満がすごいんで、それを改善をしたいという彼の思いたあったんですね。低所得の人にもおいしいものを届けたいという。

Q:現実のビジネスの現場でやりとりされてる課題に学生が挑戦できるわけですね。スイッチ入りますよね、きっと。

実際に提案した生徒の中から優秀な人、目立った人は、たとえば夏とか冬にインターンもできるんです。そのチャンスをやっぱり掴みたかったですけれど、なかなか…。

Q:これはチームワークなんですよね。そうすると「俺にプレゼンさせろ」みたいな競争になるんですか?

プレゼン自体よりもデザインでどこを担当するかという争いですね。向こうはやっぱり主張が激しいので、それに負けるともうどうしても。20人のクラスでノンネイティブは僕だけでした。

Q:荒木さんは、チーム内でデザインできたんですか?

あまり思うようには。ちょっと主張負けで。アメリカ人は場数を踏んでるので、プレゼンが上手ですね。 

もう少し経験がないと…と言われることが多かった

Q:コミカレと大学合計で6年間勉強され、まずアメリカで転職活動をされたと聞いています。どんな感じだったですか?

面接までいって、いいお話もあったんですけど、結局、ビザ取得を会社にサポートしてもらえず…。ずば抜けたデザイン力で、会社にとって利益がある人でないと、そこまで会社がリスクを負ってスポンサーするのはないみたいですね。

Q:なるほど。そこで日本に戻られるわけですが、当初はエージェントに登録しないで自分で転職活動をされてたわけですよね。既に40歳を超えていたので大変だったと思いますが、何社ぐらい受けたんですか?

履歴書出したのは数知れず。面接まで行ったのは、たぶんそのうち10社もない。年齢というより、デザインに関しては経験が少ないので…。面接していただいても結局もう少し経験がないと、と言われることが多かったです。

Q:アメリカで職探しをしたときも同じように言われました?

いや、アメリカでは言われなかったですね、アメリカで言われたのはビザだけです。

年齢に関しては、日本では履歴書を見てだいたい振るい落とされると思うんです。アメリカでは履歴書に年齢も書かないですし、性別も書かない。写真もないですね。文章とポートフォリオの勝負です。
評価してもらえるのはアメリカなので、そっちのほうがやっぱり、いいですね。

Q:34歳のときに大きな決断をして、時間とお金をかけて勉強して、帰国してみると就職がない。かなりへこみますよね…。

へこみますね。けど、へこんでいても何もできないので。とにかくもう前に進むしかないかなと。 

他の人材エージェンシーの面談では、ポートフォリオを見てもらえなかった

Q:エイクエントに登録されたのはどういうきっかけなんですか?

ロスアンゼルスで就職活動してたときに、エイクエントのエージェントとお話をしたことがあって。そういえば日本にもオフィスあったなっていうことで、エイクエントに来ました。エイクエント以外にも大手の派遣会社にもいろいろと登録しました。

Q:他のエージェンシーの登録面談とエイクエントの面談で違いはありましたか?ポートフォリオへのコメントとか。

他のエージェンシーは機械的というか、あんまり親身に聞いてないような、雑っていうイメージはありました。ポートフォリオについては、登録時には持っていく必要がないんです。まず登録に行ってそのあと求人案件が来たら見せてくださいみたいな感じでした。

Q:それだと、ワンステップ増えちゃいますね。彼らのところへ求人案件が来ても、手元にポートフォリオとかないと、すぐ動けないですよね。

(彼らのやり方は)よくわかんないんですよね。やっぱり専門性がちょっと薄いからなのかなって思います。 

場が和む、心が落ち着くモノをデザインしたい

Q:最後になりますが、今後のキャリアに関してどんなことを考えていますか?

全国誰でも知っている知名度のある商品がつくれるようになりたいなと思ってます。

まずは文具を出発点として、広げられるところは広げていきたいです。社長をはじめ上司の方も、お話は聞いてくださるので、提案はしていける会社です

Q:文房具に限らず、デザイナーの視点で見て、気になってる世の中の動きとか、プロジェクトとかありますか?

もともとクラフトが好きなので、そういう意味で、原さんと、原さんが無印でやってきたことですね。シンプルなんだけど、どこに置いても場が和むというかすごく落ち着くというか、そういうデザインが文具に限らずできたらいいなと思ってます。

Q:以前勤めていた旅行業界だと、パンフレットや広告には、とにかく情報詰め込むだけ詰め込みますよね。このノートとかそれとは対極ですね。

どれだけ情報を削ぎ落してアプローチできるかなっていうのは難しいですけど、うまく出来たときにすごいインパクトがあると思うんですよ。たぶんゴチャゴチャした中からもうちょっとシンプルになりたいっていうのがあったので、現在の方向に行っているんじゃないかと思います。


取材後記

「年齢と経験のバランス」というのは、採用時によくきかれるフレーズです。「40歳だったらこのくらいの経験を持っていて当たり前」というのが、その背後にある考えなのでしょう。もちろん、そういう採用があってよいのですが、年齢と経験のバランスが崩れた人の採用がもっとあってもヨイのかなと思います。

技術の急激な進歩が原因で、学校卒業後に入った分野で引退時まで働き続けることが出来るケースは減るでしょう。職業人生の半ばで、新しいことを学ぶことは必然になると思うのです。

「40歳。当該分野の実務経験はなし」こういう方にもチャンスが回って来るようにならないと、みんな既存ポジションにしがみつき、世の中、元気でないよなぁ。

…というわけで、荒木さんの活躍が、採用側の気持ちを変える一助になればという期待が膨らんだインタビューでした。

最後に一言。

異業種からの転職であったり、実務経験が不足していると給与が下がったり低いというのが一般的な概念ですが、
そんな時こそ業界に特化しているエージェントの出番です。タレントのポテンシャルを最大限に引き出し、
クライアントに分かる言葉で提案します。今回の荒木さんの場合も、業界に精通している担当者の高さんが給与交渉にあたり、最初の提示額を大きく上回る額で契約が成立しました。

高誠信(荒木さんの担当エージェント)
東京都出身。ニューヨーク州の大学でグラフィックデザインを専攻。
その後ファニチャーの販売等を経て2013年にエイクエント入社した異色の経歴の持ち主。
ソーシャルゲーム会社からメーカーまで、幅広い業界を担当。
趣味はDJ。

エイクエントのエージェントは草食系」という記事を書きましたが、主張すべき時は主張します!こんなエイクエントのエージェントに皆さんも是非会いに来てください。

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左:エージェント 高 誠信|右:タレント 荒木さん