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「デザインはライフスタイル」

By: Aquent

現在、日経新聞社でアートディレクターとして活躍中のライアン・ジェイムズさんを紹介します。

LAST UPDATED: 2015/11/30

人材エージェンシーのエイクエントは登録者の事を「タレント」と呼びます。登録者の「才能」に注目し、「才能が活きる」ポジションを紹介することに徹底的にこだわっているからです。

このブログでは、そんなエイクエントのタレントをご紹介しています。
今回ご紹介するのはライアン・ジェイムズさんです。

Ryan James
米国生まれ。イリノイ州美術専門学校卒。
ニューヨークでグラフィックデザイナーとして経験を積んだ後、来日。
日刊紙編集部でデザイナー、Tokyo American Clubでアートディレクターとして勤務した後、フリーランスに。
今春から日本経済新聞社勤務。

聞き手
宮崎洋史。エイクエント マーケティング担当。インタビューは英語で行われました。

TimeやForbesと同じリーグで戦っています

Q:まず現在どんなお仕事をしているか教えてください。

OK。僕の仕事は「NIKKEI ASIAN REVIEW」という英語ビジネス誌のアートディレクション。具体的には、毎号の表紙のデザインと、今年11月に予定されている当雑誌全体のリニューアルプロジェクトを率いているよ。

雑誌全体のデザイン、トンマナをリニューアルするこのプロジェクトは、僕にとって大きなチャレンジ。チャレンジには「良いチャレンジ」と「悪いチャレンジ」があって、前者は良いストレスを、後者は悪いストレスをもたらすのだけど、このチャレンジは100%前者だね。

2年前に創刊されたこの雑誌を次のレベルに引き上げるのが僕の役目。やるべきことはたくさんあるけれど、楽しくて、エキサイティングなチャレンジだと思っているよ。

nikkei_cover

左:新デザイン|右:旧デザイン

Q:英語ビジネス誌というと、大手の競合がいるよね…

TIMEとかForbesとか競合紙に比べると、NIKKEI ASIAN REVIEWの知名度が低いのは確かなんだけれど、ウチはアジアのニュースに特化しているので差別化はできていると思ってる。

ただ書店では、競合紙と隣合わせで陳列されているので、デザインでも、もちろんコンテンツでも、競合紙と少なくとも同等、願わくばそれ以上にするため、リニューアルプロジェクトを走らせている真っ最中なんだ。

Q:TimeとはForbesとかをやっつけるのは大変だよね

No。彼らをやっつける必要はないんだよね。
もちろんアジアのニュースに限れば、僕らが勝たなくてはいけないけれど、その他の分野では競争する必要はない。ニューヨークやロンドンやパリのニュースは関係ない。香港、北京、東京のニュースで勝てばよいと思ってる。

同じリーグには属しているけれど、ちょっと違うのが僕たちかな。

視覚的に美しくないものを人は読まないから

Q:リニューアルではどんなことに気をつけているのでしょう?

表紙はアイキャッチング(eye catching)に、且つ、記事のプレビューとなりえるグラフィックにしてるよ。店頭では重ねて配架されるのでそのことも考慮に入れてね。

数カ月前に香港に行ったら、NIKKEI ASIAN REVIEWが競合誌と共に、路上の売店で売られているのを目の当たりにしたんだ。道行く人のアテンションを掴むために、実際に雑誌が置かれる環境をイメージしてデザインをしている。

11月のリニューアルでは、表紙だけだなく、記事ページもビジュアルに気を配り、文字ばかりにならないように気をつけているんだ。どんなに記事が良いものでも、つまり、しっかり調査されて分かりやすい文章で書かれていても、視覚的に美しくないと人は読まないからね。

Q:アジア人は欧米人と比べて、テイストが異なっていると思う?

ウェブサイトを例にすると、日本人はコンテンツを詰め過ぎだと思う。楽天がその例。僕に言わせれば大失敗デザイン。どこにフォーカスすればよいのか分からないデザイン。ということは、どこにもフォーカスできないってことでしょ。

同じように日本の雑誌もコンテンツを詰め込み過ぎだと思う。あと写真が小さ過ぎるね。

僕が好きなのはミニマルなデザイン。数は少ないけれど強烈なイメージと文章。これが西欧の文化的な特徴かな。

new

↑新デザイン:タイトルが短くなり、余白が広い

old

↑旧デザイン

Q:表紙デザインは既にRyan色が発揮されたものが出ているけれど、売上が伸びたとか数字が出てるの?

ハハハ。それは分からないね。ただ以前の表紙と比べるとずいぶん良くなったことは確かだと思う。視覚的にアピーリングで、競合に負けていないと思う。

デザインはライフスタイル

Q:アートディレクターということはチームを率いているのだよね?どんなチーム?

僕の他に、グラフィックデザイナーとレイアウトデザイナーを合わせて合計6人のチーム。ローテーションを組んで、カバーストーリーとイントロスプレッドをデザインしているんだ。

パーフェクトとは言わないけれど、以前よりもかなり良いチームになったよ。なぜかというと、みんな雑誌を良くしようと思っているから。「仕事だから」職場に来るのではなく、デザインを良くすることに情熱を燃やす人たちのチームになっている。デザインは仕事ではなくライフスタイルなんだ。

Q:「デザインはライフスタイル」ということは残業もしているの?欧米の人は残業はしないというイメージがあるのだけど…。

残業、してるよ。発足当時はスローだったけど、だんだんスピードが上がってやることが増えてきているからね。

リニューアルプロジェクトが完了したら、チームメンバーは、このプロジェクトの一員だったことを誇りに思ってくれるだろうね。僕が来るまでは、情熱が足りないメンバーがいたかもしれないけど、このリニューアルプロジェクトはメンバー全員の心に火をつけたはずさ。

エージェントをどう使えばよいか分からなかった

Q:ちょっと話題を変えるけど、今回の転職活動は順調に進んだの?

まず他の人材エージェンシーへ登録したのだけど、外国人デザイナーへの需要はそんなにないから、仕事はなかなか決まらなかった。フラストレーションを感じる経験だったよ。

もちろん自分でも探したよ。その時は、仕事探しが僕の仕事だったね。
転職サイトで見つけたポジションに応募したり、LinkedInも使ったけど、ダメだったな。

そんな時、デザイナーの友達がエイクエントを教えてくれたんだ。で、ウェブサイトを見て、すぐに面談を申し込んだよ。エイクエントから最初に紹介されたのがこの日経の仕事で、それに決まったんだ。

エイクエントに来たら、すぐだった。

Q:エージェントと共に仕事を探すというのはどうだった?

ryan_konishi

実はエージェントを使うのは初めてだったんだ。正直に言うと当初はしっくりきてはいなかったよ。エージェントに対して何を期待すればよいのか分からなかったんだ。

過去の転職活動では僕が全てをコントロールする立場だったから、今回も給与交渉とか自分が全てをコントロールしたかったんだ。なので自分の中で折り合いをつけるのにちょっと時間がかかったよ。

でも、担当エージェントの小西さんは英語も話せて、手厚くサポートしてくれていて感謝している。

どれだけクリエイティブになれるか。それだけ

Q:転職ではカルチャーフィットが重要と思うけど、日経はどう?

NIKKEIは想像より、いいね。

以前働いていた日本の日刊紙と比べて、日経はすごくオープン。特にこのリニューアルプロジェクトでは、マネージャーはリスクをとることを厭わないので、どれだけクリエイティブになれるにか関しては制限がないんだ。

表紙も記事ページもレイアウトデザインも、競合誌と比べてどれだけ競争力を保てるか、クリエイティブになれるか。それだけ。驚いたよ。

Q:この転職でどんなスキルを得ていると思う?

このサイズのチームを率いるのは初めて。このサイズのプロジェクトも初めて。なのでチームマネジメントや、プロジェクトマネジメントのスキルを得ているよ。

もうちょっと給料が上がるとよいんだけどね。ハハハ。

人がクリエイティブになれる場を

Q:色々な経験を積んでスキルを磨いているけれど、デザイナーとしてのライアンさんの目標はどこにあるの?

とにかくより良いデザイナーになることと、大きなプロジェクトで働くこと。これは他のデザイナーも同じなんじゃないかな。

あと、Tokyo American Clubでは広告デザインや、キャンペーンのコンセプト作りにも携わっていたのだけど、ブレストして、チームとしてアイデアを出したりして楽しかった。商品をどうやってマーケティングするのか、どんなパッケージにするのかそういうことにも興味があるな。

Q:へえ、では、最近の広告キャンペーンで気になっているのはある?

広告キャンペーンとは呼べないけど、マーケティングとして気になるのは、六本木のメルセデス・ベンツコネクション

これはベンツが六本木ミッドタウンの近くにオープンした店舗なんだけど、これって天才的なキャンペーンと思う。ベンツはお金持ちの車というのが既存イメージだよね。でもこの店ではだれでも車に触れることが出来るんだ。しかもセールスマンの介入なしに。

車に乗り込んだり、車に触ったり、車の横でランチを食べたり、車や関連商品のある空間でイベントをしたり。ブランディングとして優れていると思う。これまでベンツは遠い存在と考えていた若者にリーチできるし、これまで不可能だったブランドとのインタラクションが可能になってるね。

他には外苑前の「コミューン246」というオープンなイベントスペースが気になってる。
洒落た屋台が軒を連ねていて、訪れた人をクリエイティブにする場所なんだ。

もちろん、最終的にはそこにビルができて、何億円というお金が動くのだろうけど、今は人々が集まるクリエイティブな場所。そういうのをやりたいなと思う。

英フィナンシャルタイムズ(FT)買収で高まった期待を落とさない

Q:短期的な目標は、NIKKEI ASIAN REVIEWのリニューアル成功だよね…

僕はね、リニューアルプロジェクトを通して、アジアの人々が日経に対して持っているイメージを変えたいんだ。日本では日経の事を知っている人は多いけど、他の国では今は無名だよね。

FTを買収したので、今はこれまでよりも多くの注目を得ているけれど、もしリニューアルが上手くいかなかったら、せっかく高めた期待値を落としてしまう。それは絶対に避けたい。

新デザインの出来栄えが良く、モダンで、記事内容も良ければ、NIKKEI ASIAN REVIEWはもっともっと読まれる雑誌になるはず。アジアに的を絞っているのでTIMEと同等になるとは思わないけど、アジアでは競合には負けない雑誌になるよ。


取材後記

取材時には、進行中だったNIKKEI ASIAN REVIEWのリニューアルプロジェクトは11月26日にローンチされました。

表紙はもちろんのこと、記事ページもデザインが一新され、ライアンチームのハードワークが実を結んだわけです。

NIKKEIという日本を代表するメディア企業のアジア進出を、人材面でお手伝い出来たのは人材エージェントとしては誇りに思えることです。

海外進出を企てる企業や、海外市場で力を試してみたいタレントのお手伝いをしたいと、これまで以上に感じるようになりました。

小西七津子(ライアンの担当エージェント)
兵庫県出身。オレゴン州ポートランドの大学でデザインを専攻。
帰国後にアップルジャパンでセールス&マーケティングの経験を経て、2013年にエイクエント入社。
広告代理店、出版社、外資系企業を主に担当。
特技は杉本彩のモノマネ。